【整備】CANON SUPER-CANOMATIC R 50mm F1.8 (Serial No. 76109)

今回は CANON SUPER-CANOMATIC R 50mm F1.8 を整備しました。

■外観

■機構

  • フォーカス調整機構:問題なし
  • 絞り羽根調整機構 :問題なし (絞り羽根に油染みあり、簡易除去作業実施)
  • レンズフィルタ装着:問題なし
    ※XCSOURCE社製ステップアップリングが装着可能であることを確認しています。
  • 自動絞り機構     :未確認
    ※動作検証用のカメラ機材を持ち合わせていないためカメラに装着した連動確認は出来ていません。自動絞り機構を手動で動作させた限りでは正常に動作していると思われます。

■光学系

  • カビ・ちり・汚れ:除去済み(軽微なカビ痕あり)
  • くもり     :なし
  • キズ      :なし
  • バルサム切れ  :なし
  • コーティング劣化:なし

※「なし」の項目について微細なものの見落としがある可能性がありますが、ご了承ください。
※上記詳細は以下の整備記録をご確認ください。
※上記状況について実写テストを行いました。実写テストにおいては撮影への明確な影響は見られませんでした。

まずはフォーカス調整機構と絞り羽根調整機構の動作チェックから。
フォーカスリングはスムーズに動きますが人によってはやや重めに感じる方がいらっしゃるかもしれません。使い心地については実写テストで確認します。
絞り羽根調整ダイヤルはカメラ側からの自動絞り機構対応用のプリセット絞りダイヤルとマニュアルフォーカス用ダイヤルの2つのダイヤルを備えています。
マニュアルフォーカス用ダイヤルはクリックが無いタイプで開放から最大絞りまでスムーズに回転します。絞り羽根の動作も問題ありません。
プリセット絞りダイヤルはクリック感があり、F2.8~F2のところで急に重くなりますが(理由は後述します)、それ以外は適度なクリック感で回ります。
自動絞りシステムは(1)あらかじめ撮影時の絞り値をプリセットダイヤルで設定しておき、(2)フィルム巻き上げと連動したレバーによりレンズ内のバネをチャージし、(3)シャッターと連動したレバーによりバネのチャージを開放して絞り羽根を動かす、という仕組みになっています。F16、F5.6、F1.8で各々動作を確認しましたが正常に動作しています。
レンズの状態を確認。細かいカビや汚れがありますが、それほど悪い状態では無さそうです。
まずは前玉群を整備します。ゴム治具を使って前玉群ユニットを取り出します。レンズは2枚構成です。
1枚目のレンズです。細かい点カビと汚れが付着しています。レンズクリーナーとクロスで磨いて綺麗になりました。
前2枚目のレンズは1枚目より少ないですがもカビと汚れがあります。 レンズクリーナーとクロスで磨いてこちらも綺麗になりました 。前玉側のレンズの状態は良いです。
前玉群ユニットケースを清掃し、レンズを組み込みます。
続いて後玉群を整備します。こちらはカビの量が少し多めです。
後玉群の絞り羽根側レンズの表面と判断し、レンズの分解清掃は見送りマウント側、絞り羽根側のレンズ面をレンズクリーナーとクロスで清掃しました。一部カビ痕が残りましたが、綺麗な状態になりました。
前玉群レンズユニットを組み込む前に絞り羽根の状態を確認すると、動きは正常ですが絞り羽根に油染みがあります。また鏡筒の底面に円弧上に油が付着しています。
絞り羽根の動きを確認している過程で、 プリセット絞りダイヤルがF2.8~F2のところで急に重くなる理由が判明しました。プリセット絞りダイヤルと連動した円弧状の機構がF2.8~F2のところでカメラ側との連動機構の一部になっているレバーを押し込む仕組みになっていました。この押し込みに結構力が必要なためプリセット絞りダイヤルが急に重くなっていた訳です。機能上のトラブルでは無いことが確認できて安心しました。
鏡筒底面に付着した油を取り除いた後、絞り羽根に付着した油染みを可能な限り取り除くことにしました。
綿棒を使った簡便な手法のため完全に取り切ることはできませんが、結果的に結構なの量の油を取り除くことができました。絞り羽根固着の予防にはなったかと思います。
最後に鏡筒内部を清掃し、前玉群レンズユニットを組み込んで整備完了です。

このレンズがどのような写りをしてくれるのでしょうか。実写が楽しみです!

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