今回は先日整備した CANON LENS FL 50mm F1.4 について整備仕切れなかった部分を追加で整備しました。
■外観
経年による使用感（スレ、汚れ等）があるものの、経年を考慮すると比較的綺麗な外観という印象です。
※鏡筒先端部に打ち身の修復痕があります。
■機構
- フォーカス調整機構：問題なし
- 絞り羽根調整機構 ：問題なし
- レンズフィルタ装着：修復済み
※鏡筒先端部の打ち身のためレンズフィルタが装着できない状況を修復しました。 - 自動絞り機構 ：未確認
※動作検証用のカメラ機材を持ち合わせていないためカメラに装着した連動確認は出来ていません。自動絞り機構を手動で動作させた限りでは正常に動作していると思われます。
■光学系
- カビ・ちり・汚れ：除去済み
- くもり ：なし
- キズ ：なし
- バルサム切れ ：なし
- コーティング劣化：なし
※「なし」の項目について微細なものの見落としがある可能性がありますが、ご了承ください。
※上記詳細は以下の整備記録をご確認ください。
鏡筒上部の打ち身によるらせん状部の歪みによりフィルターが装着できない状況でしたが、フィルター枠修理ツールを使ってフィルター装着ができるレベルまで歪みを補正しました。
フィルタ枠の歪み補正により取り外しが可能となった化粧リングを取り外し、カニ目レンチを使って前玉群レンズユニットの取り出し・分解を行います。レンズは3枚構成です。
1枚目のレンズです。レンズ全面に汚れが付着しています。また周辺部に軽度のキズがあります。レンズクリーナーとクロスで磨いたところ、レンズ周辺部に一部カビ痕が残りましたがかなり綺麗になりました。レンズのキズとカビ痕の撮影への影響は実写テストで確認します。
２枚目のレンズです。レンズの周辺部に白いカビがあります。レンズクリーナーとクロスで清掃し、カビを取り除くことができました。
3枚目のレンズです。細かいカビの塊があります。 レンズクリーナーとクロスで清掃し、カビを取り除くことができました。（中央右下の赤い点は照明の映り込みです）。
前玉群レンズユニットを清掃し、レンズを組み込みます。
後玉側のレンズは良い状態のため、鏡筒内部を清掃し、前玉群レンズユニットを組み込みます。
後玉側のレンズの状態は良いため、前玉側の整備をもって整備終了です。
（※赤い影は照明の映り込みです）
レンズ整備結果について実写テストを行いました。
1/4000秒 F2.8 ISO100
順光での撮影です。深みのある色合いが印象的です。背景のボケも素直で好印象です。
1/1600秒 F4 ISO100
サイド光での撮影です。光を浴びた鉄柱の陰影と錆びた鉄の質感が印象的です。
1/640秒 F16 ISO100
逆光での撮影。ゴースト・フレアともにオールドレンズとしては標準的な出方の印象です 。
1/500秒 F8 ISO100
無限遠での撮影です。鉄塔がシャープに描写されています。
1/4000秒 F1.4 ISO100
開放・最短撮影距離での撮影です。F1.4ならではのとろけるような背景ボケが印象的です。
前回の整備・実写テストもご覧下さい。
