【整備】CANON LENS FD 50mm F1.8 S.C. 前期型 (Serial No. 819069)

今回はお客様からお預かりした CANON LENS FD 50mm F1.8 S.C. 前期型 を整備しました。

■外観

■機構

  • フォーカス調整機構:整備実施(ヘリコイドのグリス抜けがありグリスを追加しました)
  • 絞り羽根調整機構 :整備実施(絞り羽根に油染みがあり整備を行いました)
  • レンズフィルタ装着:問題なし
  • 自動絞り機構   :整備実施(絞りレバーが途中で引っかかる事象を修復しました)

■光学系

  • カビ・ちり・汚れ:除去済み
  • くもり     :前玉1枚目にバルサム切れによるくもりあり
  • キズ      :前玉1枚目に軽度のキズあり
  • バルサム切れ  :前玉1枚目にバルサム切れあり   
  • コーティング劣化:なし

※「なし」の項目について微細なものの見落としがある可能性がありますが、ご了承ください。
※上記詳細は以下の整備記録をご確認ください。
※上記状況について実写テストを行いました。実写テストにおいては撮影への明確な影響は見られませんでした。

まずは絞りレバーの引っかかりを整備します。絞りレバーを反時計方向に動かしてリリースすると元に戻る際に途中で引っかかってしまう状態です。
後玉のレンズを取り外して絞りレバーの動きを確認したところ、赤丸の円筒形のガイドがレバーと干渉してレバーの動きを止めていたことがわかりました。
ガイドが取り付けられてるマウントカバー部を少し持ち上げてガイドのレバーへの干渉を軽減するとともにガイドに微量の潤滑剤を塗布することで絞りレバーの動作を復活させることができました。
後玉のレンズをクロスで磨き、鏡筒内部を清掃してレンズを組み込みます。
レンズの状態を確認します。前玉側にカビと汚れが見えます。
ゴム治具とカニ目レンチを使って前玉群レンズユニットを取り出します。
レンズ整備に先立ち絞り羽根の油染みを対処します。絞り羽根にクリーナー剤を塗布し、浮き出てきた油分を綿棒で丹念に拭き取ります。上記を何度か繰り返し、油分の除去を行いました。
絞り羽根の動作を確認します。問題無く動作しています。
最後に後玉側のレンズに付着したクリーナー剤をレンズクリーナーとクロスで清掃し、絞り羽根の整備は終了です。
続いてレンズの整備を行います。1枚目のレンズです。細かい汚れとカビ、キズがあります。レンズクリーナーとクロスで丹念に磨き、カビと汚れは除去できましたがレンズにバルサム切れによるものと思われるくもりがあり取り除くことができませんでした。レンズのくもりとキズの撮影への影響は実写テストで確認します。
2枚目・3枚目のレンズです。若干の汚れがありますが1枚目より良い状態です。2枚目の表面と3枚目の裏面をレンズクリーナーとクロスで清掃したところ、綺麗な状態にすることができました。
前玉群レンズユニットを清掃し、1枚目のレンズを組み込みます。
鏡筒内部を清掃し、前玉群レンズユニットを組み込んで前玉側の整備は終了です。
最後に後玉レンズをレンズクリーナーとクロスで磨き、レンズ外装を清掃してレンズの整備は終了です。

レンズ整備結果について実写テストを行いました。

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実写テストを行ったところ、ヘリコイドのグリス抜けによるものと思われるフォーカス調整ダイヤルのフィーリング悪化(回転時のざらつきおよび引っかかり)が見受けられたため、ヘリコイドへのグリス注入を行いました。

グリス注入のため、前玉群レンズユニット、フィルタ枠、フォーカス調整ダイヤルを取り外します。
今回は簡易な方法としてヘリコイド上部にグリスを塗布し、少量のクリーナー剤と混合させてヘリコイド内にグリスを浸透させる方法でグリス追加を行いました。
グリスが浸透したところで余分なグリスを拭き取り、フォーカス調整ダイヤル、 フィルタ枠、前玉群レンズユニットを組み込み整備終了です。
レンズ機構面のチェックを行いました。グリスを追加したフォーカス調整ダイヤルはスムーズに回転しています。絞り羽根の動作、フィルタ装着も問題ありません。
カメラに装着してプリセット絞りの動作を確認。問題無く動作しています。

追加整備後に念のため実写テストを行いました。

フォーカス調整ダイヤルもスムーズで快適に撮影できました。

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